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そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

エロゲレビュー「群青の空を越えて」

「あの子は君の目の前にあるあの大きな楠の木になったの」
幼い頃、子猫の亡骸を埋めながらそう教えてくれた隣のお姉さんは、 三毛猫のような柄をした戦車に轢かれ今はその隣に眠っている
「アンダルシアの雨は気まぐれで時折平野に空き缶が降る」
奇妙なシュプレヒコールと共に、いつも中身の入った空き缶を投じた向かいのお兄さんは、 催涙弾の豪雨にうたれ街角で二度と動かなくなった
明日は俺も歌うだろう
遮るもの一つ無い群青の空の彼方で
シュレーディンガーの猫は百年経っても決して死なない」
蓋を開けるまで、勝敗は判らない。
「俺たちは決して死なない。魂は永遠(とわ)に引き継がれるから」
叫んだ男は昨日死んだ俺は彼の友ではないだろう。なぜなら俺は彼の魂が判らない
引き継がれない魂を抱えて彼は死んだ
「わたしたちの愛は永遠なの。変わらぬ愛をわたしは誓うから」
彼女が腕にぶら下がる男の背は昨日は低かった
変わらぬ愛は背を伸ばす
永遠の愛は連れ添う相手を選ばない。
ならば俺も呟こう。力無き声をかき消されぬように
「俺たちは絶対に絶対に絶対に負けない」
言葉の時代が終わって、戦争が始まる
『俺たちの街で戦争が始まる――』
というわけでエロゲとして正直おかしい本作 群青の空を越えて です
個人的には凄く凄く大好きな作品です
OPには戦闘機しか出てきません
以上な程に凝った設定
仮想戦記でありながら青春成長モノでもあり戦時下の群像劇でもある
そんな激しく人を選ぶ作品です
コロコロと登場人物の視点が動く本作なんですが、それを違和感なく書けてるライターさんの技量も見事です
キャラクター達の個性も素晴らしい
立ち絵無しのキャラも含めて全員キャラが立ってます
これぞ群像劇って感じですね
ちょうど同時期に こなたよりかなたまで を併せてプレイしていたのもあって死生観という点でも面白いモノがありました
片や末期癌、片や戦時下のパイロット
共に限りなく死に近い場所にいる者
どことなく行き着く思考に似た所が感じられて面白かったです
世界にとっては徹底的に無意味なものとしての個人の死と、主人公たちにとってはあまりにも大きなものとしての仲間の死というのの対比も上手く書かれてて切なかったですね
White Lipsと樋口秀樹氏の手掛けた音楽も見事の一言
こんな癖の強い個性的な作品がいきなり出る辺りエロゲ界はやはり面白い世界です