そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

エロゲレビュー「天使のいない12月」

すべてが鬱陶しかった…世界がどうなろうと関係なかった。そう、 あの日までは... 誰もいないあの屋上に向かうまでは…
願ったのは束の間の安らぎ
叶ったのは永遠という贖罪――
というわけで 天使のいない12月 です
クリスマスシーズンにはぴったりな作品ですね♪
これ個人的には凄く好きな作品なんですが、率直に言うと面白くは無いです
面白いとか楽しいとか感じるタイプの作品ではありません
むしろ真逆
したがって、人にはまずオススメしません
どこが良いかと言うと、世界観というか作品全体に漂う空気が非常に秀逸
物語から滲み出る厭世観や虚無感
それとOPが素晴らしい程に作品に合ってます
微妙なダウナー感、そして冷めた雰囲気
それを良く表してます
これは「恋愛」の意味をこれでもかと言うほど残酷にえぐりだした作品
思春期の少年であるからこそ、そこから抜け出せずにずるずると嵌っていく泥沼
この作品を楽しめるかどうかは登場人物達、特に主人公の思考に少しでも共感出来るかが重要です
一人では抱えきれず、声にならない声を上げて、生き喘いでいる
そんな主人公の絶望とヒロインの絶望あるいは幻想が出会った時、この物語が動き出します
この作品がツボにハマった人はあまり明るくない青春時代(明るくないと言っても友達がいないとかモテないと言ったシンプルな物ではない、漠然とした生きる事への絶望感や虚無感を内に抱えて過ごしたタイプの青春時代を送った人)を送った人
それと物事を複雑に色々と考えてしまうタイプの人が多いんじゃないでしょうか
俺が特に好きなのが須磨寺雪緒√
この√の虚無感はヤバいです
思わず引き込まれそうになりました
「絶望とは死に至る病である」
そんな言葉があります
この作品の主人公は日々漠然とした絶望を抱えて生きている
上の言葉に倣うなら彼は死に至る病に罹っているとも言えます
生すらも無意味
ならば、死を選ぶのかというと違う
死に対する期待のカケラすらなければ、死に能動的に向かうことはない
生きているものとして、無意識に死を恐れている、というのもあるかもしれない
だが、それ以上にきっかけがない
能動的に死なないことの反射的効果が生であるということだけ
まぁ、そんなヤバげな話ですね
あと、この作品のヒロイン達はみんなどこか病んでます
ヤンデレではないです
リアルに病んでます
でも、何でかみんな魅力的なんですがね