そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

エロゲレビュー「水月」

病院にて目覚めると記憶喪失になっていた主人公・瀬能透矢
彼の傍にいたのは己を透矢のメイドであると言って憚らない雪、親友の花梨・和泉・庄一、そして盲目の少女・那波。透矢が夜な夜な見ることになる謎の夢
自分が自分であることに確証をもてない透矢
夢か現か分からぬままに透矢はどこに行くのか……
夢。
そう、これは夢なのかもしれない。
その証拠に、僕の意思とは裏腹に弓は容赦なく引かれていく。
この手を離せば、彼女は死ぬだろう。
―――だから、僕はその手を離した。
「さようなら」
というわけで 水月 です
前回紹介した 何処へ行くの、あの日EVER17等とは別の方向に難解な作品です
民俗学的な要素をもつ幻想的な世界観
一見、伝奇のようでサイエンス・フィクションの要素も強かったりします
トノイケダイスケ氏の秀逸なテキストと☆画野朗氏の可愛らしい絵が不思議と調和してる所も魅力ですね
ただ、絵に釣られて迂闊に手を出すと痛い目を見るくらい難解で癖の強い作品でもあります
本当に不思議な作品です
一言で表す言葉がありません
全く浮かびません
別に、暗い話というわけではありません
だからといって特に明るくもない
ただ、謎に謎を重ねていく精巧な文章と物語構造は圧巻
これほど文学的で美しい作品はそうは無いでしょう
そんなこんなで外面からは想像できないほど内容が偉く濃く深いものになっております
自分はプレイ時に考えすぎて少々頭が痛くなりました
何というかタイトルがテーマそのものです
水月
つまりは水面に写った月
現実などという物は水面の月の如く虚ろで曖昧な物
現実こそ不確かな海面そのもの…夢はそこに映った確かな可能性
本作は、そんなミステリアスな作品
あと、単純にヒロインの魅力も素晴らしいです
個人的には雪さんが素晴らし過ぎます
「雪さん 雪さん あぁ、雪さん
貴方は最高だ 最高だよ