そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

非エロゲレビュー「ナルキッソス」

ごく普通の大学生であった主人公は不治の病に侵され病院のホスピスに入ることになる
通称「7階」とよばれるその場所で、主人公は何もかもに冷めてしまったような少女、セツミと出会う
以前からホスピスで過ごしていた彼女は、そこに入った人は自宅か「7階」か、どちらかで死ぬ運命しか与えられていないと言う
ある冬の日、ひょんな成り行きから主人公とセツミは行く当てもなく7階を抜け出し、銀のクーペを走らせる
車が一号線との交差点に差し掛かったとき、それまで口数の少なかったセツミが突然曲がれと指示した
一号線は、セツミが地図を眺め幾度も想い描いていた、憧れの場所へつながる道だった
2人の長くて短い旅が始まった。一号線を西へ、一面にナルキッソスの咲くという淡路島を目指して、死に場所を求めて…
「眩しかった日のこと。そんな冬の日のこと。――」
というわけでフリーゲームとしては脅威のクオリティを誇る ナルキッソスシリーズの一作目が本作
narcissu
これも大好きですねぇ
この作品のテーマは非常にシンプル
徹底的に「死」つまりは死生観を書いてます
凄く真剣な作品です
とても、みずいろやラムネと同じ人が書いたとは思えません
それ程に人を選ぶというか凄く尖った作品です
きっとフリーゲームであるからこそ本当に好きなように好きな物を書けたんでしょう
この作品、本当に考えさせられます
内容についてというより、内容から感じた事について自分自身で考え事をする、という感じのほうが強いかも知れません

死とは何でしょう
とあるエロゲキャラの台詞で、死に様というのは生き様よりも遥かに大事である
といった内容の台詞がありました
故に生き様よりも死に様にこそこだわらなければならない
ただ生きていることは死んでいるのと大差は無い
生きる意味・意思が無ければ「生きている」とは言えない
だからこそ、自らの意思で「生きる」ために死ぬことを選ぶ
そういえば、本作と同じく主人公が死病に冒されてるという設定の「こなたよりかなたまで」 でも同じような事を言ってました
例え行き着く先が「死」であろうと自分で考え自分で決めた道を進むという事は医学的な物とは別な意味で「生きている」と言えるんでしょうね
そうであれば、それは絶望では無く希望なのだと思います
最後に、とある作品のこの台詞を書いて終わります
「今日は――
死ぬには良い日だ――」