そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

エロゲレビュー「CARNIVAL」

先輩のミサワ達にいじめをうけている主人公マナブは、昔から嫌な事があるとその記憶を無くしてしまう癖があった
いつものようにに呼び出され屋上へ行くと、マナブへのいじめについて抗議する幼馴染のリサの姿があった
逆上したミサワがリサに掴みかかった瞬間から、マナブの記憶は途切れてしまう
次に覚えているのは、首を切られ血の海に横たわっているミサワと、着衣を乱し気を失っているリサの姿だった
記憶が途切れ、曖昧な供述しかできなかったマナブは、事件の容疑者として逮捕される
だが、護送中のパトカーが事故を起こしマナブはその隙に逃亡するのであった――
というわけで CARNIVAL
この作品のジャンルは「サイコ陵辱ADV」となっている
この作品を書いた瀬戸口廉也というライターの名は結構耳にするのでどれほどの者だろうとサイコなシナリオに期待してプレイしてみたのですが
正直、テキストの非凡さこそは感じとれたものの想像してた程では無いなと思いました
そう、最終章をプレイするまでは…
この作品の真骨頂は最終章にこそある
正直、尋常じゃないくらいに俺のツボに入りました
個人的にはcross†channel以上に感銘を受けましたね
C†Cが自分と他者との物語なら
これは自分と自分の物語
そして本作もまたキャラや物語に共感出来るかどうかがキモであり、共感出来ない方が幸せな人生を送れるであろう作品だと思う
主なテーマは「罪」
そして、贖罪と浄罪
罪という物を強く意識してしまったが故の苦しみや辛さを抱えた者が
「罰も与えてくれない、愛してくれない世界」で足掻き苦しみ生きる物語
本作は物語のあらすじだけを見ると決して派手では無い
だが、秀逸すぎる程の心理描写が本作に奥深さを与えている
というかこれ程の哲学的な話をこの小さなスケールの物語で展開したのには驚いた
印象的な台詞や場面も多く、特に途中に入るキリスト教のエピソードは色々と考えさせられます
自分を苦しめているのが他者なら距離を置けば良い
だが、自分を苦しめているのが自分ならばこれから逃れるのは難しい
それを救えるのはもはや信仰心しか無いのかもしれない
だが、信仰心を持てない人間はどうすればいいのか
本作の主人公は、幸せとは何だ?との問いに対して
馬の頭に釣り竿つけて、先っぽに吊されるニンジン
と答える
それはどうやっても届かない物という意味
幸せとは何だろう
そう、これは幸福論の物語でもある