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そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

エロゲレビュー「車輪の国、向日葵の少女」

初夏
罪を犯すと『特別な義務』を負わされる社会
罪人を更正指導する『特別高等人』という職業を目指す主人公・森田賢一は、その最終試験のため、とある田舎町を訪れる
『1日が12時間しかない』
『大人になれない』等といった義務を負う少女たちと学園生活を送るが、『恋愛できない』少女・夏咲と出会ってから、賢一の歯車が狂いだす
崖にひっそりと建てられた自分の墓、山間洞窟に隠された父親の遺産。
贖罪を問われた男が見た、車輪の国の真実とは…
というわけで 車輪の国、向日葵の少女
本作のジャンルは、ヒューマンドラマADVとなっている
これは確かに的を得ていると思う
勿論、エロゲである以上、恋愛は描かれているが、それは決して主題では無い
この物語が綴るのは恋物語では無く人間ドラマに他ならない
さて、名作級の評価が与えられる事も多い本作
高評価をしている人には、大きく分けて二つのタイプがある
一方は、ADVという形式を上手く利用し、作品に仕掛けられた叙述トリックを評価する人
もう一方は、作品を通して語られる社会や法、人の強さと言ったテーマ的な部分に感銘を受けた人だ
ちなみに俺は、後者の方に当てはまる
この物語は深い
テキストのタッチは軽いが、伝えようとしているテーマは非常に深い
設定を見てわかるように本作の舞台となる世界は、どこかおかしい
そして、登場人物達も、そのおかしさに疑いを抱いている
作中で、SF小説に描かれる理想の国として我々の住む「日本」が登場する
登場人物達は、自分達の世界とは違う、夢の国「日本」に恋い焦がれるが、果たして我々の住む日本が本当に夢の国かどうかは考えるまでないだろう
我々の社会もまた、車輪の世界とはまた別の様々な問題を孕んでいる
この辺りの対比も非常に興味深く面白かった
この物語が伝えてくれるのは、人と人との絆を通して語られる人間の強さと弱さ
人は、弱いからこそ強くなれる
そして強さを手にした人間にとっては、社会も法も幸せになる為の障害にはなりえないのだと言う事を本作は教えてくれる
また、本作には名台詞や印象に残る文が非常に多い
それも台詞や文が単体で意味を持っているようなのがだ
特に、登場人物の一人である とっつぁんこと法月先生がらみの物はダントツで多かったですね
そんなこんなで最後に、作中の空気をガラリと一変させてしまうこの一言を書いて終わります
「森田、報告をしろ」