そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

コラム「闘っている自分が好きです」

人類を、ひいては地球を救うという大義の下、命を賭けて強大な敵に挑む
先日、レビューを書いたマブラヴオルタネイティブを始め、この様な物語は数多ある
男子としての性かもしれないが、こういった物語にはどうしてもロマンを感じずにはいられない
人類の為に闘う英雄
何とも魅力的な響きだ
だが、素直にロマンを感じながらも良く考える事がある
人類を救う事にでは無く、ただ戦う事に生きがいを見出しては駄目なのだろうか?と
目的の為の手段として戦うのでは無く
戦い自体を目的として戦う
オルタを例に出すなら、戦術機に乗る為に戦うでもいい
だってそれは楽しいに違いないから
まぁ常識的にはダメだろう
楽しみの為に戦うなど、不謹慎であるし
何よりイカレてる
でも俺はどうしようもなく憧れてしまう
それは間違った生き方でありながらもどこか真っ直ぐな純粋さを感じるからなのだろう
戦闘妖精 雪風という小説がある
人類と異種生命体の戦いを描いている点はオルタに近い物があるが
この作品の主人公は、ただ戦闘機に乗る事だけに生きがいを見出している
人類の勝利の為にでもなければ、生き残る為にでもない
ただ愛機と空を舞う為だけに彼は戦うのだ
「生き残りたくないのか?」との問いに
彼は「死にたくはない」とだけ答える
「死にたくない」と「死にたくはない」では言葉の奥に在る意味合いが全然違う
マトモではない
だが、どうしようもなく純粋だ
刃鳴散らすというエロゲがある
これは、剣に対してひたすら一途に生きた者の物語
この主人公は、ただ剣にのみ生きがいを見出す
そして様々な出来事を経て、自らの手には完全に剣しか残らなくなる
まともな人生は完全に破滅を迎えたにも関わらず、彼はこう思う
「自身に起こったのは悲劇ではない
不純物を削ぎ落とされたのだ」と
イカレている
だが、彼もまた純粋だ
彼らの生き方からは、自らの信ずる道に殉じた結果なのであれば、破滅や死すらも受け入れようという思想が見え隠れする
一種の武士道と言えるかもしれない
俺は彼らの生き方をどこか羨望の眼差しで見る
世の事情など気にせず、自らを満たす為だけに事を為し
自らが満たされるなら死すらも甘んじて受け入れる
何とも羨ましい生き方だ
俺にも生きがいと呼べる物は今まで幾らかあったし今もあるが、人生を投げ出してまでのめり込む事は出来そうもない
やはり俺如きは武士道には縁がないのだろう