そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

エロゲレビュー「赫炎のインガノック」

異形都市インガノック
積層型巨大構造体から成る完全環境都市であったそこは、10年前に発生した《復活》ですべてが歪んでしまった
人も、木々も、機関の排煙による灰色に満ちた大空さえも。ひとつだけであったはずの太陽は、ふたつになって――
た無限の霧は、都市を完全に孤立させた
孤立都市にして、異形都市。インガノック
巡回医師ギーは、今日も都市を歩く
弱者絶滅を謳う上層貴族の定めた“死の都市法”を無視し、歩き続け、下層の人々を診療し続ける
昨日も、今日も、明日も
両手からこぼれ落ちていく無数の命を見つめて――
というわけで 赫炎のインガノック
今やライアーソフトの看板作品であるスチームパンクシリーズの躍進の立役者こそ、この作品だと言っても過言ではないだろう
桜井光氏が手掛けたこのシリーズを評する時、俺は毎回こう言わざるを得ない
「世界観が素晴らしい」と
本作の御伽話を思わせる幻想的な世界観は、本当に秀逸だ
そして、その秀逸さは、シナリオだけでなく、非常にクオリティの高いCGや音楽が世界構築に強く貢献してるからこそ生み出す事が出来たのだろう
その辺の要素のマッチング具合が本当に素晴らしい
インガノックという異空間を演出する為の製作側の全力が見てとれる
そんな本作は、一言で表すならば「壮大で美しい大人向けのお伽話」
そう、この作品はファンタジー
混沌と絶望が支配する都市の中で必死に生きようとする者達が織り成す、とても綺麗なファンタジー
少々難解な物語ではあるが、それについてあまり論理的に考察しようとせずに、お伽話を読むような感じで雰囲気を楽しんだ方がこの物語を満喫できるのでは無いだろうか
それから、本作の印象的な点として挙げておきたいのが、独特の芝居がかった台詞回しだ
「喝采せよ!喝采せよ!」を始めとした演劇的な台詞の数々は本当に強いインパクトがある
この独特なノリにノれる人には、正直堪らないだろう
また、文章も非常に癖が強いが、これも作品の良さに大きく貢献していたりするのだから本当に侮れない
それから最後になるが、本作に限らず、このシリーズに共通するのがOPムービーのセンスの良さ
どれも主題歌はRitaさんが担当しているのだが、これが本当に素晴らしい
実に良く作品の雰囲気を表している
こういう大事な部分での手抜きの無さこそが、人気シリーズとしてファンから支持される秘訣なのかもしれない