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そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

小咄、創作練習、コラム、わりとどーでもいい話「妄想九割と真実一割の春」

「お兄ちゃんは、結局のところ創作屋と批評屋のどっちをやりたいわけ?」
 カレンダーの表示が卯月から皐月へと変わった日――夕食時の一幕。
 妹のA美が何気なく口にしたこの問いは、僕の胸のうちを、言われた本人が思ってもみなかったぐらいグっと深くえぐった。
「だってさあ、お兄ちゃんってばたまに思ったことをコラムとかに書いてるけど、それを創作に昇華するべきだとは考えたりしないの」
 それは考えないでもない。だが果たして、普通はコラムやエッセイに書くような私情の多分に含まれた文章を、小説で書いても良いものなのか。しょせんは見習い作家の僕には、その辺の判断が上手くつかない。
 そんなはっきりとしない僕に先んじて、
「私情を処理できない作家は……ゴミ」
 同じく夕食を共にしていたもう一人の妹――B子は、抑揚のない口調であっさりとクレバーな意見を口にする。
「ご、ゴミって、Bちゃんそれは言葉が悪いよ。だって、小説に限らず、作者の心がこもってないお話なんてなんか嫌じゃん」
 それには同意できないと言った表情で、A美がテーブルの上の刺身に箸を伸ばしながら、口をモゴモゴさせてB子の意見に反論する。
 はっきりとしない僕ではあるが、心情としてはやはりA子よりだ。見習い風情が言うのもアレだが、作家は全自動物書きマシーンになってはいけないと思っている。
「フフ……Aちゃんはウブ。しょせんはまだ夢見る少女」
「ウブって、いやそういう問題じゃないでしょ」
「小説業界に限らず、オトナの世界は甘くないの」
「何よその言い方、腹立つなあ。自分はなんでも知ってる風な顔しちゃってさ」
「ううん、Aちゃんがコドモなだけ……」
 ……やれやれ、毎度のことながら二人とも懲りないな。
 本当は一番真剣に考えなくてはいけない人間を差し置いて、二人の妹はちょっとした口げんかまがいの討論を開始した。
 未だ自分の意見を口にしないままの僕は、食卓を挟んで始まった少し球威が高めな言葉キャッチボールを苦笑いしてしながら眺める。
 二人いる僕の妹ではあるが、その実、年齢は二人とも同い年だったりする。双子というわけではない。血が繋がっていないのだ。
 そのいきさつについては、ちょっと思い出したくはない。ましてや、二人の妹達には
絶対に思い出させたくない。
「ちょっと、お兄ちゃんもBちゃんになんか言いなさいよ。物書き志望が黙ってていい話題じゃないわよ」
 口から唾を飛ばしながら反論しつつも、B子の論理的な意見に劣勢なA美が、助けを求めるかのように僕のほうを見る。
 僕はお椀に入ったインスタントの味噌汁(あさり)を一口飲み干してから、B子を見て言った。
「作家に私情は不必要なのか」
「大まかな意見としてはそれでいいのではと」
「その傲慢は、作家をマシーンにする事だ。作家を道具にして……それは一番、読者が作家にやっちゃいけない事なんだ」
「兄よ、さらりとネタをパクるな」
「気づいたか」
「うむ」
 僕はそれきり黙り込んだ。点けっぱなしにしていたテレビでは、レアアースがどうとかいうニュースをやっていた。
 度々思うことではあるが、レアアースという言葉の響きはどうしてもレイアースを連想させる。そういえば最近聞いた話だが、放映当時オタク達の間では海ちゃんの人気が一番高かったらしい。確かに青髪少女はいい。だが僕としてはマイナーだがプレセアが……。
「ちょっとお兄ちゃん! 中途半端なところで話を終わらせないでよ。それに一番最初の質問にも全然答えてないし」
「創作と批評がどうのって話か」
「うん、それぐらいはっきりさせてよね」
 僕は顎に手を当てて考えこんでるっぽい仕草をしながら、歯に挟まったイカの刺身の糸みたいな何かを取ろうと舌を動かし、時計の秒針が半周してそれが取れた頃に、
「今は創作を重点的にやりたい」
 特に大きくも小さくもない平然とした声で言った。
 だけど、どうせならという思いもあったのでもう一度口を開き、
「文章練習を兼ねて、今度から何か書く時はこういう小話じみた形式で書くことにすると付け加えた。
「何それ、変なの」
「兄……それって、昔のエロゲレビューサイトであった対話形式のレビューみたいなのか?」
 揃って僕を見る妹たちに、「まあ、そんなもんだ」と答える。(つまるところ今日僕が言いたかったのはこれだけなのだ)
 これだけでも文字数は一八〇〇文字ぐらいにはなっている、次からは一五〇〇ぐらいに収めたいなと思いながら視線を適当に動かしているとB子の口にご飯粒が付いているのに気づいたので、顔に手を伸ばして取ってやった。
 いつもクールなB子はほのかに頬をピンク色にして照れていた。その様が意外なほど可愛かったので、夕食を終えたら膝の上にでも載せて頭を撫でてやることに決めた。
 そんな僕の心の内を読み取りでもしたのか、A美がじとりとした目(俗称ジト目)で僕を睨んでいる。
「なんだA美よ」
「別にぃー。お兄ちゃんのヘンタイ」
 なるほど、省みれば僕は確かにヘンタイだ。おまけに気がつくと、もう文字数は二〇〇〇字を超えている。だからそろそろこの辺で終わろう。
 そして僕は最後に何かとても意味深いそうな言葉を叫ぶことにした。
ザムディン!」


(練習を兼ねているので意図的に誤字脱字を直してません。これが僕の素です)