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そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

コラム、創作論「キャラクターの話」

 たとえば、面接か何かで、
「あなたはどういう人間ですか?」
 といった趣旨の問いをなげかけられたとします。
 大体の場合は、「明るい性格です」だとか「生真面目な性格だと思います」だとか答えるのが普通でしょう。
「明るいけどお喋りなところがある」とか「生真面目だけど融通がきかないところがあるとよくいわれます」とか一言付け足したりしながらね。
 だけど面接をする側からしてみると、一口に説明されただけでは、どう明るいのか、どう生真面目なのかが全然伝わらなかったりするじゃないですか。
 じゃあ、どうするとより具体的にどういう人間かがわかるのかというと、明るさ、生真面目さが他人に伝わるようなエピソードを語ってあげるのが一番良いんです。
 そう、エピソード。
 これまでの人生で経験してきた出来事のことですね。
「初対面の相手と三日で打ち解けられたけど、五日目にはお喋りがすぎて鬱陶しがられてしまった」
「授業の内容から脱線した雑談をはじめた担任教師を思わず注意してしまい、楽しく聞き入っていた他のクラスメイトをしらけさせてしまったことがありました」
 とか、ちょっと要点だけかいつまんでますけどこんな感じかな。
 これをもっと事細かに語れば、もっとその人がわかってくることでしょう。
 思うのですが、「どういう人間なのか」を構成し表してるのって、その人が積み重ねてきた出来事なのではないでしょうか。
 歩んできた道と云ってもいい。
 人の性格って、あれで結構おおざっぱに分類できてしまうものじゃないですか。
 だけど、明るいとか暗いとか、そうやって分類されてもなお人それぞれ全然違う人間性や考え方を持っているわけで。
 でね、何がいいたくてこんな話をしたのかというと、これって現実の人間がそうなんだから、物語のキャラクターだっておんなじだよなー、と僕は思いまして。
 
 たとえば、物語を考える際にキャラクターのプロフィールを考えますよね。
 名前、身長体重、スリーサイズ、家族構成、好きな食べ物、趣味etcetc……、そして性格。
 だけど、そういう項目が羅列されてるのを見たって本質的な人物像はなかなか見えてこなかったりします。
 せいぜい既存のキャラ造形のイメージと照らし合わせて、〜〜っぽいとか思ったりするぐらいでね。
 あ、ビジュアルの問題はまた別ですよ。
 
 性格・ツンデレとひねりなく書いたところで、実際色んなキャラクターがいるじゃないですか。
 で、それを区別してるのは経験した出来事なわけですよ。
 とりまく環境なんかでも変わってきますね。
 ツンとしてても気にせず話しかけてくる物好きがそばにいるのと、ツンとしてるもんだから周囲から孤立してるのと、ツンとしてても根っこの人の良さを見透かされてて周りから生温かく見守られてるのとではこれ全然違います。
 
 あくまでも僕のやりかたなんですけど、キャラクターをイメージするときは、土台となるプロフィールだけでなく、経験する、経験してきた出来事とセットで考えていくのが一番だなと。
 というか、これこそ創作の醍醐味ですよね。
 キャラクターが歩んできた人生、これから歩む人生を考えるのってすげえ楽しいよなって。


 さてさて、こっからはまたちょっと違う話。
 創作をやってる人なら誰もが、強く印象に残るキャラクターを生み出したいと思ってて、ありふれてない特別なキャラクターを生み出そうと日夜四苦八苦したりしてるわけです。
 それで、特別を意識しすぎるあまり、奇をてらう方向にばかり目がむきがちになってしまったりもするのですが、その辺の認識をうまいぐあいにかち割られた経験をひとつ。
 
 マブラヴってエロゲあるじゃないですか。
 改まって名前出すのも今さらなぐらい有名な一作ですよ。
 あの作品って三部構成なわけですけれど、第一部の世界観ってのは、もうものすごいベタなラブコメ時空なんです。
 あえて狙ってそうしてるんですけど、それを踏まえても胸焼けしそうなぐらいすごい。
 んでんでんで、そのマブラヴに、鏡純夏っていうこれまた絵に描いたようなべったーな世話焼き幼なじみヒロインがいるんですが、はっきり云ってこの娘はラブコメ時空においては、エロゲによくいる幼なじみヒロイン、それ以上でも以下でもないわけです。
 けれども、後半この娘がまた良い感じに化けちゃうんだなこれが。
 本質は何も変わってないのに人間的な評価が跳ね上がるわけ。
 ちょいとネタバレなんですがね、このマブラヴって作品は主人公が物語の中盤から、地球外生命体と人類がドンパチやってる殺伐とした並行世界に飛ばされてしまうわけです。
 で、後半になってから色々あって主人公がまた元の世界に戻って来るんですが、ドンパチで下手うった記憶をぬぐい去ることができなくて苦しむんですよ。
 そこでね、件のベタベタ幼なじみが主人公の苦しみの正体を知ろうと根気強く詰め寄るんです。
 だけど主人公からしたら、いくら仲の良い相手だからって、並行世界でロボット乗ってドンパチやってた話なんか信じてもらえっこないに決まってるじゃないですか。

「云ったって信じるわけねえよ!」
「信じるよ!」         

 ってやりとりが延々と繰り返されるわけです。
 結局、主人公が折れて夢としか云いようがないような苦しみを吐露するのですが、これをヒロインは無条件で信じてくれるんですね。
 この瞬間、ベタベタ幼なじみにありがちなひたむきさが、スペシャルな人間的魅力に昇華されるわけです。
 これは本当にやりかたがうまかったっ。
 ヒロインの本質自体はなにも変わってないんです。変わったのは状況なんですよ。
 ラブコメ時空でもそうしてたように、主人公を無条件に信じただけ。
 やってることは普段通りの行いなんですけど、状況が状況なだけに、普段通りなことがむしろ特別になった。
 
 ええと、僕が何を云いたかったのかというと、キャラクターの魅力なんかどこで光り輝くかわからねえんだな、ってことです。
 要素としてみればありふれてることだって、状況ひとつでスペシャルな魅力に繋がるんだよ、と云いたかったのです。
 キャラクターの魅力なんてのは設定をこねくり回すんでなく、出来事の積み重ね、つまることころ物語を経た先しかないと思うのです。

 まあ、そんな感じで毎度の思考の吐き出しでした。