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そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

コラム、雑記「汝自身を愛せ」

 出崎統さんという今はもう亡くなられてしまったアニメ界の巨匠がおられるわけです。
 僕はこの人の作品が不思議と性にあいまして、手がけたアニメを空いた時間に少しずつ観ていったり、インタビュー記事を探したりなんかしているんですが、つい先日、「あっ、こりゃどおりで性にあうわけだ」と納得しちゃうような台詞に出会えたので、これを心に置き留めるためにも書き出しておこうと思います。

『 何があっても、どんなことがあっても、自分を嫌いになってはいけない。決して自分をボロクズのように扱ってはいけない。
 他人に誇る事は無いにせよ、自分の良い所を見つめ、愛し続けなくてはいけない。
 私はね、マリ子。
 お前の目から見れば、どうにも許せない人間だ。
 私を知っている誰もが、私をくだらないやつだと言うだろう。
 家庭を顧みず、仕事だって一流とはいえない。生き方だって、ただ流されているだけだ。
 でもね、マリ子。
 そんな私でも、ほんの少しだがいい所があると自分では思っている。
 誰にも見えないが、私だけが知っている、いい所が少しはあると思っている。
 私はそれを大事にしているんだ。ひそやかだが、愛してさえいる。
 どうしてかわかるか?
 それが無いと生きられないからだよ。
 いや、それさえあれば、どんな事があっても生きていけると思えるからだよ。』

 いつだったか、3月のライオンをダシに自己肯定について書いたことがありましたけど、こうやって自分を受け入れてあげるのってすごく大事なことだと思うんですよ。
 他人とは簡単に縁を切れますけど、自分と縁を切るのは生きている限り不可能じゃないですか。
 それと、上記した言葉のキモは、これを云っているのが立派とは正反対の、社会常識的には限りなくクズに近い人間だという点です。

『醜くても 愚かでも、誰だって人間は素晴らしいです。幸福じゃなくっても、間違いだらけだとしても、人の一生は素晴らしいです』

 もう何度抜粋したかわからない尼子司くんの台詞なんですけど、これだって半分ぐらいは自分に云い聞かせてる節があると思うんですよ。
 醜くても愚かでも、自分という人間や、自分という人間の一生を素晴らしいと思わないとさ、満たされる瞬間なんて永遠にやってきませんよ。
 それでなくたって、自分だけでも自分を素晴らしいと思ってやらなきゃやってられないときってあるじゃないですか。
 他者承認を鼻で笑い飛ばすつもりはありませんが、自分のすべてをわかって認めてあげられるのは、やっぱり自分自身をおいて他にないと思うんです。
 ふと思ったのが、僕がJ・さいろーさんや木之本みけさんのキャラクター造形が好きなのって、日常的な一般性と非日常的な変態性をきちんと併せ持ってるからなんですよね。
 要は、良いところとダメなところですか。
 良いところ、きれいなところは、自分でも肯定してあげやすいですし、他者からだって承認されやすい。
 けど、ダメなところ、醜いところは、自分でも肯定しづらいし、ましてや他者からなんてまず認めてもらえない。
 それでね、J・さいろーさんや木之本みけさんのキャラクターたちだって、やっぱり葛藤するんです。だけど、最後にはちゃんと自分の意思でダメなところを肯定してあげるんです。
「女の子ってこんなにかわいいんだから、おしっこぐらい飲みたくなって当たり前だよね」って。
 

つい先日、宮崎駿監督が新作映画「風立ちぬ」公開の関係でTVのインタビューに答えていたんですが、その中で魔女の宅急便を振り返ってこう云っていました。

「自分探しの時代は終わった」

 探した末にみつけた自分と、どう向き合っていくのかがこれからの時代を生きる鍵なのかもしれません。
 僕自身、自分がどういう人間なのか最近少しずつわかってきて、それに関わらず自分のことが結構好きだったりするのですけれど……、まぁ、実際は自分を好きになろうと意識しているからそう思えているだけなのかもしれませんが。
 結局これ、創作なんかにも同じようなことが云えて、後にも先にも自分が自分の作品を愛してやらないと創り続けてはいけないんだよね。

 
 現時点での結論なんですけど、自分を好きでいられるうちは、人生なんかいつだってEASYモードになり得ると思うんです。
 それと逆に、自分を嫌いになりはじめると、途端にHARDモードに選択カーソルが移動しかねない。
 とりあえず、何かのめりこめるものがあるうちは僕はわりかし幸せに暮らしていけると信じてます。
 だけど、こういうのをあえて言葉にしている時点で、もしかしたら何かわだかまっているものが僕の中にまだあるのかもしれません。


瀬戸口廉也さんの作品なんかは、自分大好きと自分大嫌いの正反対のキャラクターがよく出てくるんですよね。
 そういう価値観の意識下でのぶつかり合いみたいなのが僕は好きでして、だいたいははっきりとは結論づかないし、わかりあえないんですけど、それでも何かしら残るものはある。

「俺たちは自由なんだよ。万能ではなくても、とにかく自由なんだ。これはすごいことなんだぜ」

 
と、キラ☆キラで村上くんが胸張って云うんですが、自由だからこそ誰にも気兼ねなく自分を肯定してあげていいと僕は思います。