連載コラム、雑記、思い出話「ぼくと、エロゲ 第16話〜よくわかんないもの・2008冬〜
今でも覚えている。
2008年の一月に何をしていたのかというと、僕はひたすら“最果てのイマ”をプレイしていた。
田中ロミオ作品でもっとも面白いかった作品は? と訊かれたら、僕はこの作品の名前を挙げるだろう。
ここでいう面白さとは、シンプルに娯楽性という意味合いでの面白さだ。
心を揺さぶられた等の広い意味での面白さでなら、他のロミオ作品や山田作品も甲乙つけがたいのだが、先が気になる面白さという意味ではこの作品が一番だった。
で、ここからが今回の本題なんですが、この最果てのイマという作品は、数あるエロゲの中でもジャンル分けしづらい作品のひとつだと思います。
世間的にはSFということになってますけど、ジャンル分けにおけるSFは適用範囲がどうも広すぎて、とりあえずしっくりくるだけに留まっている気がするんです。
だって、最果てのイマもSFならロケットの夏もSFですし、マブラヴだってSFに含まれるんですよ。
一口SFといったって、大きく違うことが多いじゃないですか。
それでも、最果てのイマはSFにジャンル分けできるだけまだわかりやすい。
同じ時期にプレイした“水月”や“何処へいくの、あの日”なんかは、いったいどういったジャンルに分けるべきなのか未だもって結論が出ません。
エロゲの名作良作って、こういう一言でジャンル分けしづらい作品がわりと多いんですよ。
Forestとか
Carnivalとか、
沙耶の唄や俺たちに翼はないも、
既存のジャンルに振り分けてもいまいちしっくりきません。
それだけ個性的だということなんでしょうね。
自分で創作をやるようになった今だからこそ、ああいったジャンル分けの難しい作品を作り上げたクリエイターがいかに独創的で特別だったのかがわかります。
云い方は悪いですけど、既存のジャンルに乗っかった作品って、お手本になる作品が簡単にみつかるんですよ。
つまり設計図を描きやすい。
だけど、水月みたいな作品を作ろうと思ったら、参考になりそうな作品なんて水月以外にありますかね。
いや、ないんじゃないかなぁ。
あんなのは、もはやトノイケというジャンルですよ。
オンリーワンというのは簡単に真似できないからこそオンリーワンなんだろうな、とつくづく思うわけです。
頭から尻尾の先まで替えがきかない。
今にして思うと、本当に良い経験ができたんだなと思うわけです。
あの当時、特に強いこだわりを持つでもなく、ただ単にエロゲに熱中していただけなのに、ああいうオリジナリティの強い作品に触れられたことで、僕の視野は自然と広がりましたから。