そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

エロゲレビュー「Ricotte〜アルペンブルの歌姫」

かつて造船で栄えた町、クワルク
今では人も少なくなり、稼動している工場も数えるほどになってしまっている
そんな寂れた町の一角にあるパブでピアニストとして働く主人公・バノンはひょんな事から“リコッテ”と名乗る少女と一緒に暮らすことになる
無邪気でわがまま、そのうえ世間知らずのリコッテに散々悩まされる主人公だったが、ある日、リコッテがとんでもなく歌が上手いことに気がつく
そうして、パブをステージにした二人の演奏は好評を得ていくのだった――

というわけで Ricotteです
これは隠れた名作
山あり谷あり、例え困難が訪れても、どこか前向きで明るく微笑ましい雰囲気
キザと言う程では無いが非常に小粋な台詞回し
そして、近代のヨーロッパを感じさせるどこかクラシックな世界観は、古き良き世界名作劇場の様な味わいを醸し出しています
というか、これ本当に世界名作劇場ですよ
エロを無くして、角を少し削れば普通に世界名作劇場のネタとして使えちゃうような物語です
イイ話や温かい話が好きな人には本当にオススメ
それと本作は構成が非常にユニー
そもそもヒロインは一人しかいないし、√も2つしかない
設定、あらすじ、ヒロイン等は全て共通だが、主人公の性格だけを√によってガラリと変える事で、全く違う物語にしてしまっている
これには、主人公の気持ちの持ちようで、ここまで物語が変わるのかと驚かされた
片や、ピアニストとしての才能と自信に溢れた野心家の主人公が、時にヒロインを励ましながら高みを目指す物語
片や、田舎のパブのピアニストとしてくすぶってる主人公と自分に自信の持てないヒロイン
そんな弱い2人がお互いを想い合い支え合いながらの、心の成長を描いた物語
ただ、どちらの物語も互いを信頼し欠点を克服するために助け合う二人という構図は同じで、とても心に余韻が残る良い物語になっていました
また、主人公達と、彼らを引き立てる脇役達とのやりとりも巧い
脇役達にしっかりとした個性があり、正にキャラが活きている作品と言えるだろう
悪役なんだけど根はいい奴というパターンが多いのも、名作劇場でのお約束みたいな物ですね
原画の野々原幹さんは、ロリコン御用達な御方ではあるんですが、こういう温かい雰囲気の作品にも柔らかい絵柄はマッチしてると思います
後、元気っ娘に定評のある 大波こなみさん演じるヒロインのリコッテは本当にハマり役でした