そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

エロゲレビュー「つくとり」

古い因習と伝統に縛られた月鳥町
その町は、太古の昔、ツクトリという神とそれを祭る人間たちによって作られた
この町に住む人間たちはいまなおツクトリが存在すると信じている――
主人公・橋上郁は仕事のため武蔵野府に向かう途中、月鳥町で起こった殺人事件の調査に向かう刑事・久十生寧と出会い、なりゆきで殺人事件の調査を手伝う事になる
そして、捜査を進めていくうちに明らかになる町民の部外者への拒絶感
南北に分け、思想が対立し古い考えを持つ町
「イケニエ」「祟り」という語句
そして「ツクトリ様」
連続怪死事件の幕が今あける…
というわけで つくとり
閉鎖的な田舎町
土着信仰
連続怪死事件
まさに伝奇ミステリーの王道とも言える材料が一通り揃った作品である
それに加えて、出題編に対して解答編が存在するという構成は、ひぐらしのなく頃にを彷彿とさせるが、材料の料理の仕方は全くの別物なので二番煎じと言うほどには似通ってはいなかったりする
あらかじめ言っておくが、本作の核心部分には想像を超えるオカルト要素は使われてはいない
きちんと論理的な解答が得られるので安心して欲しい
それと何気にこういうひぐらしのような構成は一つの舞台で起こりうる複数の事件を描かなくてはならないためにセンスと労力をかなり求められると思うのだが、これをしっかりと一作の中でまとめているライターの技量は評価したい
味塩ロケッツ氏はこれからに期待できる人材である
さて、ここからが本題なのだが、この作品は色々とヤバい
扱っているネタが本当にヤバい
これはエロゲという社会の片隅にある表現媒体だからこそ成し得たのだろう
被差別部落
某巨大宗教団体
某北の独裁国家
という単体でも危ないタブー中のタブーなネタをよりによって三つも持ち出している
それも、あまりオブラートに包まずに
それらのネタをネタとして昇華できない人はプレイしてはいけない
俺は、そういったことに関しては多少は知識があるつもりでいたが、まだまだ甘かったようで、サンカやオゲといった用語や某巨大宗教団体と北の某国のつながりは本作をプレイして初めて知った
それにしても、某宗教団体を
宗教法人の皮を被ったマフィア」
などと言いきったりなんかしてライターさんの身は大丈夫なのだろうか
それと、最後になるがDucaさんが歌う本作のED曲「ありがとう」は本当に名曲なのでこれだけは是非皆さん聴いていただきたい