そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

連載コラム、雑記、思い出話「ぼくと、エロゲ 第五話〜泣きゲ、泣きゲ、雨、泣きゲ・2007春〜」

 エロゲをプレイして得た経験則をひとつ。

「泣ける」と評判の作品は早いうちにプレイしろ!

 というのも、数をこなしていくにつれて、どうしても感性のみずみずしさが失われていきがちなうえ、良くも悪くも角度をつけて作品に触れるようになったり、比較対象が増えて何かと順位付けをしてしまうようになったりしかねないからだ。
 要は、スレてきてしまうのだ。
 感動にも色んなタイプがあるが、そのなかでも泣くというのは、もっともシンプルかつダイレクトにハートに訴えかけてくるものである。
「??って泣けるって評判だったのに、全然泣けなかったよー」
 なんてスレた感想を得意げに口走るよりは、素直に涙を流せたほうがよほど得だと僕は思う。
 そもそも、泣けると評判になる作品なんてのは、なにかしら陳腐なところがありがちだし、勢いや雰囲気で強引に押してくることが多い。
 だから、やれパターンだベタだなんてケチをつけはじめるときりがないのだ。
 僕は云いたい。
 情に訴えかけてくる作品はできるだけ真っ直ぐ受け取りましょう、と。そっちのほうが得だよ、と。(自分にも云い聞かせないと)
 逆に、名作良作と名高いにも関わらず、面白さのタイプがはっきりしない作品は経験値が貯まってから触れたほうがより楽しめるとも考える。

 そんなわけで、今回はエロゲ史においてごく短期間ながらも眩いばかりに輝いていた泣けるエロゲ――「泣きゲー」というジャンルの話を。

 旧名作を優先的にプレイしていくにつれて、僕はエロゲ黄金期を追体験していったと以前語ったが、そうなると必然的に泣きゲーが支持されてた時期を通過することになる。
 調べてもはっきりとした区切りは見えてこないのだが、時期的には00?02年の数年間だと捉えている。
 その時期を過ぎた後にも、泣けると評価される作品はリリースされてはいるが、泣かせる方向に舵を大きく切った作品が流れとして連続していたのはその時期ぐらいではないだろうか。
 そもそも実際に情報を漁ってみると、泣きゲー“ブーム”と云い張るほどには盛り上がりがなかったようにも思えてくる。
 各エロゲメーカーがストーリーに力を入れていた時期はたしかにあったろうが、あきらかに泣きを狙った作品に関しては、そこまでは多くをリストアップできなかったりもするからだ。
 ただ、何かと話題性があったり目立っていた作品が泣きゲーに含まれていたのは紛れもない事実で、それら一部の作品が放つ眩しすぎる輝きが、あたかも泣きゲーブームが起こってたように錯覚させていただけな気もしている。
 と、話が評論めいてきたので思い出に入ろう。
 エロゲをプレイして目から涙をポロポロこぼした経験は幾度もあるが、特に泣かされた作品は07年の冬から春にかけてプレイした作品に集中している。
 つまりエロゲにはまってまだ日が浅く、なおかつ泣きゲーばかりを立てつづけにプレイしていた時期だ。
 さて、特に泣かされた作品をいくつか揚げておこう。

 加奈〜いもうと〜
 
 AIR
 
 SNOW

 うわっ、なにこのベタなラインナップ!
 ってなわけで、これが僕からもっとも多くの涙を搾り取った三作品だ。
 絆、別離、悲哀といった泣かせるためのいかにもな要素がだいたい含まれている。
 今振り返ってみてもも、実にダイレクトに情に訴えかけてくるあざとい作品ばかりだと思う。
 で、でも泣いちゃったんだから仕方ないじゃないっ!
 特にAIRにはどえらいショックを受けた。受けてしまった。
 というのも、上記のラインナップのなかでAIRが一番理不尽な結末を迎えるんですよこれが。
 加奈もSNOWもだいたいオチが予想できるんですけど、AIRに限っては先が読めなかったわけで。
 
 な、なんだよゴールって!(憤慨)
 
 AIRをクリアしたばかりのころの印象的な思い出がひとつある。
 あの切ないラストに打ちのめされた僕は、感情のほとばしるまま携帯でしか閲覧できないマイナーなゲーム質問掲示板に感想を書きなぐった。
 するとどうだろう、その感想に同意したり共感をしめすコメントが思いもしなかったほど大量に送られてきたのだ。
 おそらく、鍵作品の全盛期を支えていたファンがまだ多く残っていたのだと推察する。(仮に今あのときと同じようにAIRの感想をあの掲示板に書き込んだとして、大量の感想がもらえるだろうか)
 これまでのエロゲ人生をトータルで振り返れば、上に挙げた三作品より心に響いたいくつもある。
 だが、流した涙の量だけならやはりあの三作品が僕のなかで上位に君臨し続けるのだろう。

※そういえば、上の三作品ってボイスなし版をプレイしてるんですよね。
 別にボイス無しのほうが感情移入できるというわけでもないんですけど。
 ただ思うのは、ボイスは脳内再生余裕だけど、BGMは無理だよなぁと。
 あと、今やAIRって原作ゲームよりも京アニのアニメ版のほうがポピュラーみたいなんですよね。
 おそらく、今はkeyよりも京アニのほうが吸引力あるんでしょうねえ。いやはや。
 


 画像は07年冬から春にかけてプレイしたエロゲのいくつか