そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

雑記、私事「一進一退、そしてまた元の場所」

 今年の悔恨、今年のうちに供養しちゃおう!
 ということで、新たらしい気持ちで新しい年を迎えるためにも、これまでまったく語らずにきた僕にとって今年もっとも重大だった出来事について話そう。
 具体的な名は伏せるが、今年僕はとあるライトノベル新人賞で最終選考に残った。編集部の方から電話もいただいた。
 小説を書き始めてちょうど四年目、ようやくの高次選考通過だった。
 もっとも、結果は云わずもがなだったので、一歩進みかけてやっぱり戻っただけでしかない。いまの僕は相も変わらず、どこにでもいる一作家志望者のままだ。
 ちなみに、レーベルHPでの選考通過者の発表のほうが、編集部からの電話連絡よりも先でした。
 今か今かと連絡を待ちわびる日々を送る中、僕の携帯電話が鳴ったのは、仕事を終えて間もなくの21時53分のこと。
 この通話の内容が、単なる事務的な連絡だけでなくプラスαもあったので、こんな話をしたよー、と参考までに書き記していきます。


 まず一番に話したのが、原稿と一緒に送付したプロフィールの確認。
 これ、全部声に出して読み上げられました。それぐらい書いた項目を一つ一つきちんと確認していきます。住所氏名年齢職業は当然ながら、作品タイトルだって声に出して読み上げられますし、これまでの応募歴についても確認されます。
 それから、原稿のデータの送付方法について。
 これは大していうことはありませんが、よくある新人賞へのデータ応募がテキストデータでなければいけないのに対して、僕が普段使ってる一太郎のファイルをそのまま送っても構わないとのことでしたのでそうさせていただきました。

 で、ここからがあらかじめには想定してなかったプラスαの話。たとえばこんなことを訊かれました。


 ――ライトノベルは結構読まれるんですか? 
「うむ」
 己は条件反射で答えた。事実よく読んではいる。
 そうでなくとも、ラノベ新人賞に投稿しておいてラノベなどあまり読まぬと不遜に答えるのは、どう思慮しても心象がよくないであろう。
 そんな、ささやかな計算もあった。


 ――ちなみに、好きな作家さんとかはいます?

 己は一瞬言葉につまった。
 ラノベをちょくちょく読んでいるとは云った。たしかに答えた。
 しかし、今現在流行ってる作品を読んではいなかった。一昔前のヒット作やマイナー作品がほとんどだった。
 己は流行ってやつを理解してるぜ! とアピールするために、川原某や渡某の名前をとっさに口走るという手もあった。
 だが、嘘を口にしたくはなかった。嘘は致命的な綻びにつながることがある。
秋山瑞人……高畑京一郎……」
「ほう」
 電話の向こうの男が息をのむ様子が伝わった。ニィ、と己は口の端をつり上げた。
 ……と夢枕文体は書きづらいのでこれぐらいにするとして、ラノベで大好きな作品というと絶対女王にゃー様がまず思い浮かんだんですけど、Jさいろーさんはラノベが本業ではありませんし、かといって樹戸英斗さんの名を挙げたって、なつき☆フルスイング! の知名度の低さを考えるとピンとこないでしょう。
 こいつマイナー指向だな! と思われてしまうのは人気作家を生み出したい新人賞でプラスに働くとは思えない。
 ならば、と思い当たったのが、方々で申し分のない評価を得ている秋山瑞人さんでした。猫の地球儀は、僕にとって五本の指に入るぐらい大好きなラノベでしたので。
 もう一人、同じような理由で高畑京一郎さんの名前も挙げました。(Hyper Hybrid Organizationの続き、オレハマッテルゼ!)
 でも、これだけだとアピールが弱い気がしたので、ラノベもだけど美少女ゲームを多くプレイしてきたこともちゃんと付け足しておきました。
早狩武志さんとか瀬戸口廉也さんの作品がめっちゃ好きです!」って本当に云いましたとも。この人たちの作品は僕のアイデンティティみたいなもんです。

 ――この投稿作、どれぐらいの期間で書き上げました?
 これもねえ、一瞬言葉につまっちゃった。筆が速いほうがプロとしてやってく上でプラスになるのは知ってたから。
 とりあえず、「三ヶ月ぐらいです」と答えました。
 別に嘘ではないんですけど、実際はもうちょっと時間をかけてます。ほら、推敲や改稿って、時間さえ許せばいくらでもできますので。


 ――この投稿作、一度でもどこかの新人賞に送ったりしましたか?
 これは本気で答えに迷いました。実は使い回しだったんです。
 やっぱり選考する側としては、自分とこの新人賞に一番に送ってきてくれたほうが気分がいいでしょうから、誤魔化そうかとも思ったんです。タイトルは変更してましたので、過去の投稿歴と詳細に照らし合わせたりしない限りわかりようがないでしょうし。
 ただ、これからパートナーとして密に付き合っていくかもしれない相手に隠し事をするのはどうなのかと、気がとがめたんです。なので、これについてはすべて事実を伝えました。
 少し前、とあるラノベ新人賞の講評で、他賞に応募した痕跡のある投稿作なのに、それについて記述が一切なかったことを審査員から注意されるなんて出来事もあったことですし。


 他には、創作をはじめられてから何年ぐらいになるのかも訊かれましたね。大きく印象に残ってる会話はこれぐらいでしょうか。
 それと、僕に連絡をくれた編集さんは、こちらが恐縮するぐらいに礼儀正しかったです。そういう感じの良さが印象に残ったのもあって、結果こそダメだったものの、決して大手ではないこのレーベルを陰ながらも応援していきたい気持ちはあります。
 2014年、新人賞の最終選考まで残って、だけど落ちて、まったく悔しくないと云ったら嘘になりますけど、気持ちはそんなに暗くないです。
 なあに、僕はまだやれますよ。