そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

連載コラム、思い出話「ぼくと、エロゲ 第22話」

 2008年の秋から暮れにかけて、僕は方々で名作と呼ばれているエロゲを立て続けにプレイしていた。
 ざっと羅列してみると、「車輪の国、向日葵の少女」「forest」「SWANSONG」「マブラヴオルタネイティブ」
 厳密にはエロゲではないが、EVER17なども並びに加わる。
 それらはそれぞれ評判通りに面白かったのだが、レビュー記事ではないので感想については割愛させていただく。
 名作と呼ばれていた作品をそれなりの数こなしたことで、僕がいっぱしのエロゲヲタを気取るようになったのがこのころだ。
 しかし、どうもこの時期以降というのは、それ以前に比べてエロゲというコンテンツから受ける刺激は減退していったように思える。
 いや、素晴らしい作品、感動した作品はあった。たくさんあった。内容だってちゃんと覚えている。
 そういう個別の作品から受ける刺激とはまた別の、「エロゲってこんなに凄かったのか!」という、まったく新しい世界に触れた感動がこの時期以降薄れていったのはたしかだった。
 まあ、特別な出会いだって、いずれは慣れてしまうということなのだろう。
 であるからして、早狩武志瀬戸口廉也との出会いについて力を入れて書いて以降は、この「僕と、エロゲ」と題した思い出話で語るような印象に残っている出来事をなかなか引っ張りだすことができず、前に記事を書いてからおよそ1年近くも間が空いてしまったわけだ。

 

 つらつらと個人的な過去を振り返ってみるなら、2008年から09年にかけてのこの時期は、公私ともに充実していた。
 仕事はすっかり慣れきってベテラン気分、趣味も、車のほうはサーキットで自己ベストの壁にぶつかっていたものの、翌年のタイムアップ目指してエンジンのOHを計画しておりまだまだモチベーションは高かった。
 エロゲについては言わずもがな、たくさんの素晴らしい作品と出会えた。
 そのわりにはどうも公私ともに強く印象に残ってる出来事が少ない。だが、不安のない時期というのはえてしてそういうものなのかもしれない。



 そういえば、非ラノベ読みから見た光景であはるが、2008年ごろは狼と香辛料ゼロの使い魔をはじめとしたラノベ原作アニメが人気で、原作の小説もかなり売れていたはずなのに、ラノベブームとはまだあまり言われていなかった気がする。
 ラノベブームという言葉がなんとなく目に入るようになったのは、俺妹がヒットしたぐらいからで、ラノベがブームらしいという情報とともに、ラノベ=ラブコメという図式が猛烈な勢いで広まっていったのもその時期からだったように思う。
 はがないが東大の書店で上位にランクインしたというニュースを耳にしたのは2010年代に入ってからだったろうか。