読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

エロゲレビュー「わんことくらそう」

高い知能と人によく似た姿を持つ「犬」や「猫」の一部の種類が人と共に暮らす世界
主人公・遊佐祐一がある雨の日に見つけたのは、雨に打たれて動こうともしない、まだ幼さの残る野良犬
首輪もつけておらず衰弱しきって、今にもその小さな命を失おうとしていた
それを見かねて「雨が上がるまで」と部屋に上げ食事を与え世話をする祐一
だが、弱っていた体が戻ってもその犬は元気を取り戻すことなく、ふさいだり、おびえたりの日々
祐一は意を決して、その犬の飼い主を探すことにする
「飼い主が見つかるまでの間」――ひとりと一匹の暮らしが始まる…
というわけで、とらハシリーズやリリカルなのはで知られる実力派ライター都築真紀氏が手掛けた本作 わんことくらそう
正にタイトル通りの作品である
描かれるのは、わんことの暮らしを軸にした人間ドラマ
ともすれば、ただの獣っ娘萌えゲーになってしまいそうな本作を、それだけではない深みのある物語として仕上げたライターのセンスは流石ベテランと言った所だろう
作品全体としては、飛び抜けた部分の無いバランス型の仕上がりとなっている
だが、本作は浅くは無い
人に近い知性を持ちながらも、本質的には動物以外の何者でも無いという人型動物の悲哀を本当に丁寧に書いている
人間にも動物にもなりきれない中途半端な存在
この辺の問題は、ある意味SF的でもある
それでいて本作は、柔らかな温かみに溢れている
切なさを感じさせる場面も多いが、だからこそ、この温かさが際立つのではないかと俺は思う
さて、そんな本作、俺の中で物語としての面白さとは別問題で別格の地位に在る作品だったりする
それは作中で主人公が度々口にするスレた人生観や捻くれた恋愛観に絶大な共感を覚えたからに他ならない
物語の本筋に殆ど関係ないにも関わらず、この主人公は自らの人生観をよく語る
それは、人によっては強烈な不快感を覚える厭世的で諦観めいたニヒリズム
彼自身ですら、人間好きな普通の人は、自分の様な人間を受け付けないだろう と語る
嘘つきだと思うか、馬鹿だと思うか、馬鹿にしてると思うかだろうと
それぐらいスレた人生観を彼は抱えている
個人的には、瀬戸口廉也作品が好きな人
それも、CARNIVALなら理沙、SWAN SONGならば柚香に共感した人
キラ☆キラなら紗理奈√に感じ入る所があった人に本作をオススメしたい
キーワードは「生きる」という事
この物語は本当に深い