そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

2010-01-01から1年間の記事一覧

コラム「10年代の始まりとlookback2000」

意識している人は少ないかもしれないが、今年2010年は、2010年代始まりの年であった こういう節目の年にはオタク業界にとって何か大きなうねりが起こるのではないかと勘ぐってしまうのは、些か想像力過多だろうか 例えば、ちょうど10年前 00年代の始まりを告…

エロゲレビュー「それは舞い散る桜のように」

それは桜舞う季節に始まる物語 主人公・桜井舞人は進学にあたって、ひとり北国の親元を離れ、遠く桜坂市へ越してきた 桜坂は彼にとって、少年期までの多感な時期を過ごした思い出深い故郷 学園での楽しくも平凡な一年が過ぎ、新年度を迎える前日 春休み最後…

雑記「嘘だと言ってよ、めてお!」

あ…ありのまま、今知った事を話すぜ! 『俺はガールズワークは、まだ発売の目処も立っておらず、具体的なストーリーも何一つ発表されてない作品だと思っていたら、いつのまにかアニメ化が決定していた』 な…何を言ってるのか わからねーと思うが俺も何がどうなっ…

コラム「シナリオライター虎の穴」

前回レビューを書いたCrescendoのシナリオライター 水無神知宏氏について調べていた所、中々面白い事が分かったので、その話をしよう 皆さんは「プレイバイメール」なるものをご存じだろうか これは、TRPGの遊び方の一つで、与えられた設定と大筋のストーリ…

エロゲレビュー「Crescendo〜永遠だと思っていたあの頃〜」

振り返る3年間の数々の思い出 卒業という節目に近づくにつれ激しく募る想い あの時の僕等は純粋だけど臆病で他人を傷つけることを畏れていた その優しさが逆に他人を傷つけていることも知らずに―― ただただ、この時が悠久の時であれば良いとそうあって欲しい…

非エロゲレビュー「カオスヘッド」

「三次元に興味はないよ」と言い切り、基地と呼んでいるコンテナハウスで大量の美少女フィギュアに囲まれながら生活する、引きこもり一歩手前の主人公・西條拓巳 彼が住む渋谷では、『ニュージェネレーションの狂気』と呼ばれる連続猟奇殺人事件が発生し、ネ…

雑記「11月を振り返って&本のレビュー」

ゆっくりと12月の明かりが灯り始めた今日この頃 ここで先月のおさらいと本の簡単なレビューを少々 エロゲクリアは殻の少女一本 ミステリーとしては悪くなかったです 後、デモムービーが秀逸なのに作中で使われて無いのが意外でしたね ちょうど先日、魍魎の匣…

コラム「あるエロゲヲタのぼやき」

これは、極めて個人的なイマイチ的を得ないボヤキである それと、あくまで作品全体に対する批判ではなく、一部分に対するいちゃもんだと思って頂きたい 最近、物語に登場するオタクキャラに、エロゲが「大好き」だとかエロゲ「ヲタ」だという設定が付属して…

コラム「秋空に舞う俺の妄想」

秋深まり冬近づく今日この頃 紅く木々を彩っていた葉っぱたちもすっかり散ってしまい、かく言う俺は、会社の敷地の側溝に溜まった落葉をかき集める作業に追われていた 集めても集めても側溝に散り積もる落葉たち そんな終わりなき作業に黙々と取り組んでいる…

エロゲレビュー「シンシア〜Sincerely to You〜」

「領空侵犯機を撃墜せよ」 空軍の戦闘機パイロットである主人公・坂月 純夜に下された命令 それ自体は軍人である彼にとってはありふれたもの ただ一つ、撃墜すべきその対象が民間の旅客機であると言うことを除いて… 抗議も虚しく、撤回されない命令に従うま…

コラム「世界観と雰囲気のハナシ」

「世界観がイイ」 俺が先日、赫炎のインガノックのレビューを書いた際に用いた言葉だ この「世界観の良さ」というのは設定が面白いというよりも、世界観が醸し出す雰囲気が素晴らしいという意味を指している、エロゲに限らずこれがシナリオ以上に作品の魅力…

エロゲレビュー「赫炎のインガノック」

異形都市インガノック 積層型巨大構造体から成る完全環境都市であったそこは、10年前に発生した《復活》ですべてが歪んでしまった 人も、木々も、機関の排煙による灰色に満ちた大空さえも。ひとつだけであったはずの太陽は、ふたつになって―― た無限の霧は…

雑記「10月を振り返って」

今更ですが10月のおさらいを少々 それにしても由々しき事態です エロゲにハマって3年と10ヶ月…時間があればエロゲをプレイしていた俺が、初めて月のクリア本数0という事態に陥ってしまいました 別にエロゲに飽きたとかではないんですよ ただ、単価の安さと…

コラム「チェンジ」

俺が先日から散々共感を覚えたと語っている わんことくらそう その中でも特に感じ入ってしまった台詞がある 「人も犬も強くなったり、上手に出来るようにはなっても本質から変わることはきっとできません 本当は、中身が変わった訳じゃなくて上手に生きる手…

コラム「これは絶望ですか?」

大災害後の世界を描いた瀬戸口廉也氏の傑作SWAN SONGの一場面 既存の社会が崩壊しても尚、争いを続ける人々を見てヒロインの柚香は呟く 「どうせ死んじゃうのなら 楽しい事ばっかり考えて過ごせばいいと思いませんか? 争ったり傷つけあったり、そういうのは…

エロゲレビュー「わんことくらそう」

高い知能と人によく似た姿を持つ「犬」や「猫」の一部の種類が人と共に暮らす世界 主人公・遊佐祐一がある雨の日に見つけたのは、雨に打たれて動こうともしない、まだ幼さの残る野良犬 首輪もつけておらず衰弱しきって、今にもその小さな命を失おうとしてい…

コラム「ウィトゲンシュタインすげぇ」

先日触れた「素晴らしき日々」という作品を語る上で無視できないのが、20世紀最大の哲学者と呼ばれたウィトゲンシュタインという男と彼の著作「論理哲学論考」だ 正直、俺の様な凡人には論考は良く理解出来なかったが、彼自身の壮絶な生き様には感じ入る物が…

コラム「クリエイターの意地」

今年評価の高かった「素晴らしき日々」という作品がある これを先月クリアしたのだが、明確なテーマを持った実に考えさせられる素晴らしい作品であった だが、お世辞にも取っ付き易いとは言えないニッチな内容だったのも事実である 本作のライターである す…

コラム「兄と呼んでくれ」

先日の妄言絡みの話ではあるが、赤の他人であるヒロインに「お兄さん」や「お兄ちゃん」と呼ばれ慕われるシチュエーションは、本当に堪らないものがある 義妹だろうと実妹だろうと妹から「兄」と呼ばれるのは、基本的には当たり前の事だ だが、赤の他人から…

雑記 妄言「9月を振り返って」

申し上げます。申し上げます 主よ。貴方は、酷い、酷い 厭な奴です。悪い奴です ああ、我慢ならない。許しちゃおけねえ はい、はい、落ち着いて申し上げます 何もかも、すっかり全部申し上げます 私の家は、代々敬虔なクリスチャンで、叔父などは小さな教会…

【宣伝】地元の方へのお知らせ「第12回秋田おたく文化交流会」

参加予定なので、一応宣伝しときます 第12回秋田おたくオフ会 ■日程 2010年10月17日(日) 13:30〜16:30 ■会場 秋田市 文化会館 学習室1(最上階) 締切り 10月16日(土)PM4:00まで ■参加費 500円 ◆参加申込み(必修?@) h…

コラム「アンチヒーローのすゝめ」

「そんなことを、お前が言う権利はない 俺は、俺のやりたいことをするだけだ」 先日、レビューを書いたMARIONETTEの主人公の口癖だ 俺は、こういう行動原理に従い、望むがままを行うアンチヒーローと呼ばれる存在が大好きでしょうがない それは、彼らに人間…

エロゲレビュー「MARIONETTE-糸使い-」

ある日、彼の拾った紫色の石が全てを変えた 石は紫の糸となって、彼に寄生した 糸が与えたのは、人の精神を操る力 彼は飽いていた ただ流れるだけの日常を打破する、己を満たすものを求めていた 力に酔いしれ、人々を蹂躙し、陵辱する そんな彼の前に立ちふ…

コラム「キザな奴だぜ」

厨二病という不治の病を長年患っている俺は、物語におけるキザな台詞回しというものがどうしようもなく好きだ 今日は、そんな俺が堪らなく痺れた、とあるエロゲのワンシーンの話をしよう。 敵の手によってヒロインを殺されてしまった主人公 彼は、相手が危険…

エロゲレビュー「智代アフター」

町外れの廃品回収屋に就職した朋也は、一人暮らしを始め、恋人の智代と蜜月の日々を送っていた そこへ、智代の弟 鷹文が父親の隠し子 とも を連れてくる ともは母親に置き去りにされており、やむなく朋也と智代が保護することになる さらに夏休みを目前にし…

コラム「まるちえんど」

小説、漫画、アニメ、そのどれにも不可能でありながら、エロゲ…というかゲームにのみ可能な事が一つある それはマルチエンド いや、終わり方に限らずそこにいたる過程も多岐に渡る事を考えれば、マルチシナリオと言った方が良いかもしれない 他の媒体では、…

非エロゲレビュー「CLANNAD」

校門まで残り200メートル そこで立ち尽くす 「はぁ」ため息と共に空を仰ぐ その先に校門はあった 誰が好んで、あんな場所に校門を据えたのか 長い坂道が、悪夢のように延びていた 「はぁ…」 別のため息。俺のよりかは小さく、短かかった 隣を見てみる。そ…

雑記、妄言「八月を振り返って」

本業であるフリーライターの仕事に一段落ついた私は、筆休めと趣味であるフィールドワークを兼ねて八月の大半を軽井沢にある別荘で過ごさせてもらった やはり軽井沢は良い 実に綺麗で静かな所である そんなある日、別荘に来て二週は過ぎた頃だったろうか ラ…

コラム「決断」

「アンタ、一度だって自分で決めた事があるのかい?」 先日、再プレイしたとあるエロゲで主人公が言われた一言である この主人公、若干優柔不断な所こそあるものの、そこまでウジウジした性格というわけではない では、なぜ冒頭の様な辛辣な言葉を投げかけら…

コラム「その時、エロゲの歴史が動いた」

先日レビューを書いた ONE〜輝く季節へ〜は、エロゲの歴史上において一種の道標的役割を果たした作品だと言われている そんなわけで、今回のコラムではエロゲの歴史に影響を与えたと思われる作品をONE前後の世代に限定してではあるが、いくつか挙げてみよう(…