そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

コラム「ウロブチさんを語ってみた」

エロゲ業界を代表するシナリオライターの一人である虚淵玄氏が脚本を手がけたアニメ「血だまりスケッチ」もとい『魔法少女まどか☆マギカ』が今期から始まった
硬派な作風で知られる虚淵氏がよりによって蒼樹うめ女史と組んで魔法少女モノを手がけるという事実に驚愕した人も少なくないだろう
これはやはり虚淵氏の作品に対して
硬派
男臭い
ハードボイルド
といったダンディズム溢れるイメージを持ってる人が多いからこその反応と言える
同じニトロプラス所属のライターでも鋼屋ジン氏や下倉バイオ氏が手掛けていたら、ここまで驚きを持って迎えられる事はなかったのではないだろうか
それぐらい虚淵氏と魔法少女という組み合わせは異質と思える
だが、先日ネット上で「虚淵氏の根底には女性崇敬がある」との論を目にして思わず目から鱗が落ちてしまった
どうして今まで気づかなかったのだろう
氏の作品の中心には必ず女がいる
例えどれほど硬派でハードボイルドで男臭くてもだ
というか、ここまで女性を物語の絶対的な根幹に関わらせてるライターは少ないのではないかとさえ思う
考えてみて欲しい
ファントムで窮地に陥った主人公を助けたのが誰で、彼を超一流の暗殺者に仕立て上げたのが誰なのか
ヴェドゴニアで主人公に超常の力を与えたのが誰で非日常のハンターの世界へいざなったのが誰なのか
鬼哭街で主人公と親友の運命を大きく流転させる原因を作ったのが誰なのか
沙耶の唄で主人公と世界を祝福に満ちた破滅へといざなったのが誰なのか
これらの作品は全て女達が運命の歯車を回している
正直、主人公…というか男に物語の主導権はない
ジャンゴに至っては主人公自体が女だ
最初ジャンゴは、あれを男キャラでやるとコテコテ過ぎるから女キャラでやったのだと思っていたが、改めて考えると氏の女性崇敬を前面に出しただけなのかもしれない
虚淵作品は女が中心
そう言っても過言ではないだろう
なまじ良主人公が多くてカッコイイ上に物語の構成や描き方が上手いので気づき難いが、ファントム、ヴェド、沙耶なんかの主人公達は人物的な掘り下げがヒロインに比べて驚く程浅い
基本的にヒロインと出会って以後の主人公の姿しか見えてこず、彼ら自身の根源にある何かはイマイチ解り難い
実は虚淵玄は男よりも女を描きたいのかもしれない
そう考えると魔法少女というチョイスは本人の望んだ事だったりするのかもしれません