そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

雑記、近況、創作、JS転生中「夏がすぎていく」

 カレンダーに記されたおっきい数字が八から九に変わっても、わたしの町ではまだまだ暑い日が続いていました。
 空の青もでっかい入道雲の白も相変わらずで、まるで夏の延長戦が続いているみたいです。
 じっとしていても次から次へと吹き出てくる汗。ギラギラと照りつける強い日差しのせいで日陰も少なく、日中は外になんか出ていられません。
 ハッ、もしかして季節がループしているのではっ!
 そんな突拍子もないことを考えながらテレビをつけてみますが、どこのチャンネルでも高校野球の中継はやっていませんでした。どうやら、時間の流れは正しい方向に進んでいるみたいです。
 にしても、あっついなぁ〜。
 額の汗を拭って耳を澄ませば、外からはセミさんたちの大合唱が――って、あ、あら聞こえてきませんね。
 窓から顔を出してみても同じで、あれほどけたたましかった夏の音色はどこからも聞こえてきません。
 代わりに草むらからは、コオロギさんの声がかすかに響いてきます。それは夏ではなく、秋の音色。
 ああ、そっか。秋はもう、すぐそこまできてるんだ。
 この暑さが通りすぎてしまうと、いよいよ夏もお終いなわけで。いま感じている暑さへの疎ましさも、きっとそう遠くないうちに忘れ去ってしまうのでしょう。
 夏が通りすぎていきます。
 二度とは巡ってこない2012年の夏が。


 ということで、JSモードも今回までなわたしです。
 かなり立て込んでいた八月ではありましたが、とりあえず一段落しました。
 ひーひー云いながらも二本投稿しましたよ二本。
 一本は地方文学賞むけの短編。もう一本は本命のライトノベル新人賞です。
 どっちか片方に専念しとけばまだ良かったのでございましょうが、両方書くと決めてしまった以上どっちもでかしたかったのでがんばったのですよっ。
 ええ、おかげで見直しも推敲も不十分でございます。本命のほうにいたっては、3/5ぐらいまでしか見直しせずにおくりましたよ。(ダメじゃん!)
 だってだって仕方なかったんだもんっ。時間がなかったんだもんっ。
 ぎりぎりまで推敲しながら徐々に窓の外が明るくなっていったのには、昔、夏休みの宿題を徹夜ででかしたときのことを思い出しちゃいました。テヘヘ。
 それにですよ、ほ、ほら、ロボットアニメとかで試作機が未完成のまま出撃するシチュエーションって燃えるじゃないですか。(苦しい言い訳)
 戦いの一部始終を開発者の博士なんかが端から眺めて、
「いったい誰が操縦しているんだ!? 調整もまだなのにあれほどの機動……信じられん」
とかなんとか驚愕しちゃうパターンですよ。もちろん未知の機能を実走してますよ。ブラックボックスですよ。
「我々がこうも圧されるとはッ! データにない機体……新型だとでもいうのか」って敵のエリート士官が歯がみしながら撤退していくのは間違いなしですね。
 

 ……で、なんの話でしたっけ?
 そうそうスケジュールがカツカツだったって話です。
 本命のラノベのほうは見直しはともかく、初稿の書き上げはそれなりに丁寧だったんですけど、問題は短編のほうですね。
 構想から完成まで3日か4日ぐらいしか時間を割かなかったうえ、終盤を書いていたのが午前三時ぐらいだったのもあってか、えらいテンションがおかしなことになっちゃったのです。ふぇぇ。
 いま何かとタイムリーないじめ問題を扱った16000文字いかないぐらいの短編だったのですが、深夜のテンションがもろに出ちゃって終盤がもうなんか富野節みたいに……。

「ぼくはいじめはよくないとおもいます。ぜったいにあってはいけないとおもいます」
「それはぼくにもわかります。でもいじめはぜったいになくならないので、いじめられているほうがかわらないとどうにもならないとおもいます」
 みたいな感じだったのが、
「人が人を虐げるなどッ! あってはいけないことなんだッ。あなたにはなぜそれがわからないんですかッ!?(キュイーン、ピピピ、バシュッ)」
「ちいっ! 綺麗事だけではなぁ、誰も救えんぞ少年! キミが思っているほど、世界は人を祝福してなどいないッ。それをわかりたまえ!(ヒュン、ヒュン、タタタタタ)」
「黙れぇ! そうやってなんでもわかった振りをして。消えていなくなれーっ(ジジジジジ、チュインチュイン、チチチチ……)」
「まさか!? 閉鎖空間であれを使うつもりか。――ふっ、面白い! 受けて立とう。(ガチャ、ブゥーン……)」
 ぐらいまで暴走しちゃってたり。
 
 ……まあ、なんとかなることをメッカに向かって祈ることにしますよ。アッラーは偉大ですから。      

 んでんでんで、本命のほうはというとですね。こっちもまたなんだか歪になっちゃったなぁ、と書き終わってからちょっとだけ首をひねってる始末です。
 ギャグやコメディからはじまってシリアスでオトす。
 日常からはじまって非日常で締める。
 これってわたしが一番馴染みがある媒体であるところのエロゲにおける黄金パターンなのですが、いざ書いてみると、単なる一ユーザーとして見ていたときより歪で変則的な構成だなぁというのに気づいちゃうんですよね。
 わたしのそんけいするせんせいの教えで、作品のトーンは早いうちにバシッと定めてあげたほうが落ち着いて読めるというのがありまして、かなりうなずける意見だと思って受け止めてます。
 だけど、前編後編でテンションやトーンをスイッチするのって、例えるなら、料理屋で最初頼んだつもりのものとは別の料理がでてくるのに等しいじゃないですか。
 それでも美味ければよしって意見も少なくはないのでしょうがね。
 一昔前のエロゲを好きこのんでる人って、そういうびっくり箱的な側面を好んでいた節もあったわけで、わたし自身も好きではあるんですけど、立場が変わってみると、こういう歪と云うよりは不安定な構成って実はとってもリスキーであることを、今回改めて認識したわけです、はい。


 と、なんかごちゃごちゃ云っちゃいましたが、結局はなるようにしかなりませんものね。がんばれがんばれーって自分に云い訊かせながら色んな制約のなかでベストを尽くすしだいですよ。わたしがまたこんなJS口調で文を書きはじめたら、全面改稿してるものとでも思ってください。
 最後に、これまでの流れとまったく無関係なんですが、最近知って気に入った詩を載せておきます。
 NHKで夜中に放送してたドキュメントでしった城山三郎さんという人の「旗」という詩でして、最近のご時世がらみで深く胸に響きました。
   

『旗振るな 旗振らすな
 旗伏せよ 旗たため

 社旗も 校旗も 国々の旗も
 国策なる旗も 運動という名の旗も

 ひとみなひとり ひとりには
 ひとつの命

 走る雲 冴える月 こぼれる星
 奏でる虫 みなひとり ひとつの輝き

 花の白さ 杉の青さ 肚の黒さ
 愛の軽さ みなひとり ひとつの光

 狂い 狂え 狂わん 狂わず
 みなひとり ひとつの世界 さまざまに
 果てなき世界 

 山ねぼけ 湖しらけ
 森かげり 人は老いゆ

 生きるには 旗要らず

 旗振るな 旗振らすな
 旗伏せよ 旗たため

 限りある命のために』

 どうあっても、人はひとりだ。
 だけど、所詮人はひとりでは生きられないし、社会との繋がりなしでは十分な満足を得られない生き物でもある。
 僕のようなわりと自己完結しているような人間でさえ同じ。
 そうでなければ小説なんか書いて賞に送る必要はない。
 矛盾。
 人はひとりであり、ひとりで生きるべきなのにそう在れない。
 でも僕は思う。人はやはりひとりでしかないのだと。