コラム「名文? 美文? いいじゃないですか、良い言葉がそこにある。それだけで」
いきなりなんですけど、やっぱり名台詞ってのは、印象に残りやすいんですよね。
ちょいとネットで検索をかけてやれば、色々なジャンルの名台詞を特集したサイトが簡単に引っかかりますし。
次いで印象に残りやすいのが、名シーンですか。
名台詞と名シーンがセットになってることも珍しくありません。
映画とかドラマとか漫画とかアニメとか、まあだいたいのジャンルで印象に残るのは、このふたつなわけですよ。
つまり、台詞とシーン。
あ、演出とか音楽とかはシーンのほうに含めといてくれると話がスムーズです。。
でね、今回なんの話がしたいのかというと、活字の場合はもうひとつあるんですよ。台詞とシーンの他に、地の文ってやつが。
これは他のジャンルにはないものじゃないですか。
これって、なんて呼ぶのが適切なんでしょうね。
名台詞、名シーンに倣って名文でしょうか。
ただ、名文となるとなんだか格式が高いイメージで、雪国の冒頭とかそういう綺麗な情景描写しか挙げちゃいけない感じもしたりしなかったり。
そういうのは美文とかそういうのに分けるのが適切な気も。
まあ、そんなこんなで、わりとこの印象に残った地の文ってやつを意識してる人っていないなあと思うんですよ。
これって、考えてみるとちょっと不思議。
だって、小説もそうですし、僕が今でも好きなエロゲ等のADV、VNだって地の文の量がそれなりにあるじゃないですか。
だからきっと地の文の中にだって、名台詞に負けず劣らずの良い言葉があって当然だと思うんです。
以上が前置き。
ここからは、実際に僕が良いなと思った一文を挙げていこうかと。
なるべく前後の流れを知らなくても意味が伝わりそうなのをいくつか。
ちなみにこれ、特にメモとか取ってないのに頭に残っちゃってる言葉だったりします。
よほど僕の感性に響くものがあったんでしょうね。
あ、僕らしく今回の出展元は全部エロゲですから。
もし出展元がわかってしまうような猛者がおりましたら、商品として二次元オニャノコ画像が1GBぐらい詰まったZIPでもプレゼントしますので。
『親でも子でもなく、ただ、人と人が、お互いを必要とし合っていた。』
これ、本当に好きな言葉なんですよ。
作品自体はそこまで好きなわけでもないんですけど。
親子だからとか、恋人だからとか、友達だからとか、人って互いを必要とし合うのに何か前提を持ち出したがるじゃないですか。
だけど、この言葉の表すところは、そういう関係性をすべて取っ払って、ただ人と人がいて、そして必要としあい求め合っているいるという素晴らしさですよ。
これって愛だよなあと思わずにはいられなかった言葉ですね。
たったこれだけの一文なのに、強い想いが伝わってくるのはとてもすごいだと思います。
『一匹、二匹は悼みもした。
三匹、四匹、きりがない。
五匹、六匹、涙も涸れて。
そこから先は笑いっぱなしだ。』
これはさっきのとは趣が違います。
主人公が敵に対して力を振るうシーンでの文章なのですが、たったこれだけの文章で力に酔いしれていく様が表現できている上手い文章ですね。
少しだけ韻を踏んでるのも好印象だったり。
『言葉より速く伝わるものもある。言葉より正しく伝わるものもある。世界はどんな短い時間でも意味を持つ。意義を持つ。』
なんだか広告のキャッチコピーみたいな響きがありますけど、これも印象に残ってる言葉というか一文なんですよね。
人に何かを伝えるときに有用なのは、言葉だけじゃないんだよって趣旨です。
所作とでも云うのでしょうか、言葉を積み重ねるよりもよほどダイレクトに想いが伝わる何かはたしかにあるよなと。