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そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

コラム、妄想、邪推「うろぶちさんはにんきものやで」

 ちょいと面白い記事を読んだらなんだか興が乗ってきたので、久しぶりにちゃんとしたコラムでも。
 何を読んだかというとですね、今をときめく虚淵玄先生と田中ロミオさんの対談記事ですよ。
 僕はネットに貼られていたのに目を通しただけなんですが、これは多分、ユリイカか何かの記事ですね。あとで、きちんと本誌を読んでみようと思います。
 まずそれで、シンパシーを覚えたのが、虚淵先生のクロスチャンネルに対する認識が僕が感じたのと凄く近い内容だったことです。
 >>虚淵「まず前提としてあれはループが重要な作品だとは思ってないんですよ。ループがあるから凄いという作品ではない。
ループはあくまでも舞台設定に過ぎなくて、凄まじいのは黒須太一というキャラクターの在り方です」
 ここは僕も完全同意です。少なくともあれは、ループ世界について考察を巡らすような作品ではないと考えています。
 それと、僕はクロスチャンネルをはじめとしたいくつかの癖が強い作品について話す時は、
「この作品の良さなんかわからないほうが絶対に幸せ」
 といった内容の言葉を最初に持ち出すのですが、今回虚淵先生が
>>「CROSS†CHANNELやって泣きました、感動しましたって人は色々とヤバイぞ。それはちゃんと自覚しておいてくれ」
 と、冗談交じりで言っていたのを読んで、「ああ、他の人から見てもやっぱりそうなんだ」と頷いてしまいました。
 それにしても、僕はこの人を凄いクレバーな人だと思いますね。
 必ず、どこか一歩引いたところから物事を客観視してるとでも言いましょうか。本当に頭がいい人なんだとは思います。(たしか、早稲田の出身でしたっけ?)
 対談相手の田中ロミオさんは、虚淵先生に対して、
>>「虚淵さんってミスらない人っていう印象があるんですよね。すごい堅実に積み上げていく。空回りして失敗するっていうのを僕は見たことがない。まあ、習作ではあるのかもしれないですけど、商業ベースでそういうのを全く見たことがない。ライバル的な視点で見ても、『あー、虚淵さんはどうせ失敗しないんだろうな』っていう感じで、この人を挑発して何かをするのは凄く不利だなという、そういう苦手意識はあります」
 と言われるんですけど、これには僕も同感です。
 商業的にはともかくとして、作品の仕上がり的な意味合いで、虚淵先生の作品ってのはある種完璧です。
 ジャンルゆえの好き嫌いはあっても、仕上がりに対しては非の打ち所が本当にない。
 作品作りに関しての色々と面白い発言はありますが、商業的に大当たりはしないことも含めて、この人の場合はすべて計算づくでやっているのではないか、とさえ勘ぐってしまうぐらい、クレバーさが見え隠れするんですよね。
 まぁ、もしかせずとも僕の思い込みだと思いますが、何度も言うようにこの人は本当にクレバーな人ですね。
 今回の記事を読んで、つくづくそう感じました。
 上手く言葉では説明出来ないんですが、常に頭で考えてから行動し、発言しているように感じられてならんのです。
 強烈な我を持った上昇志向の強いタイプの方ではないようなのでスポイルされがちですが、本質的には相当したたかな方のような気がします。
 したたかというと言葉がわるいですね。飄々としたと言い直しましょう。
 この人の自分の作品に対するコメントやインタビューなんかを読んでいると、腹の内をさらけ出しているようで、何一つ見せていないような気がしてくるんですよ。
 よそ向けの言葉を器用に使いこなしているとでも言いましょうか。我が強い人間が多いクリエーターという人種の中では、かなり異質の存在なんじゃないんでしょうか。
 田中ロミオさんの言うように、そうそう墓穴を掘らない方だと思います。
 以前、この人の作品はどうして欠点がないのかを考えた時に、虚淵先生のこれまでの作品ってのは、エロゲというジャンルの中では短編的な傾向が強くて無駄がない分、欠点が発生する余地も少ないという結論に行き着いたんですが、今思うとこれは確信的にやっていたんでしょうね。
 欠点が発生する余地さえも潰すという徹底的なクレバーさ。そういえば、一度だけこの人の作品が、フルプライスに対して物語の尺が短すぎると批判を受けたことがありましたが、これは物語の無駄を省き過ぎたがゆえのデメリットだったのかもしれません。
 そういえば、まどかマギカも物語の尺としては決して長くとられた物語ではありませんでしたね。
  あれは、1クールであることを前提に全て計算尽くで作られた、もの凄くよくできた作品でしょう。今回の記事の中で触れられていたんですが、まどかには虚淵さん以外にも他のスタッフの意見も多く採用されていたそうで、そういう他の意見を柔軟に取り込んでまとめてしまう辺りが、虚淵先生の凄さだと思います。
 さて、そんなわけで、シナリオライターで今は脚本家でもあらせられる虚淵玄先生なんですが、実を言うと、僕はあまり好きではありません。
 だからといって、嫌いなわけでもないです。
 散々語っておいて何ですけど、やや好きとでも言うんですかね。こういうクレバーな人を嫌いになれないという僕の性分もあるんですが、やや好きから好きになるための要素が、虚淵さんにはどうしても一つだけ欠けてるんです。
 これをあえてここでは言いません。勘の良い人はなんとなく察してください。
 
 そして、ここまでも散々思い込みと憶測で色々書いてきましたが、ここからは完全に僕の妄想です。読んだ人は鼻で笑ってください。
『人身御供』という言葉があります。一種の生け贄みたいなものですね。
 例えがアレで申し訳ないんですが、Zガンダムでいうところの、ダカール演説後のクワトロ。あるいは、球界再編時に選手会の代表として球団経営陣とやりあった古田とでも言いましょうか。
 まぁ、つまるところ脚光の当たる場所に立つ代わりに色んなものを背負い込む役割のことを指します。
 今のアニメ業界の一部にですね、虚淵さんをとにかく日の当たるところに担ぎ出そうという風潮がありませんか?
 たしかにまどかはインパクトも大きかったですし、良い作品だなとは思いますよ。
 でも、近年の他のヒット作に比べて、作品もそうですが裏方の人間へのスポットライトの当たり方が大すぎるような気がするんです。
 今回の参考にした記事もそうですし、ここ最近、新聞やアニメ情報誌以外の雑誌への露出など、色々と凄いじゃないですか。
 たとえば、ハルヒが大ヒットした時に、谷川流さんはここまで色々な方面から脚光を浴びましたか?
 美水先生は? かきふらい先生は? 細田守監督は? 人気作家でありながらアニメ脚本も手がけた沖方さんは? あるいは近年の人気作品に多く関わった京アニのスタッフ達は?
 まぁ、ヤマカンさんはスポットライトを浴びたのか、自分から浴びに行ったのかちょっとわかりませんが……。
 とにかく、陰謀論好きの僕としてはなんだか作為的なものを感じずにはいられんのです。それで、虚淵さんが人身御供にされているのではないのかと。
 とはいえ、物語性重視のオリジナルアニメを取り巻く日本のアニメ業界の現状を考えると、それを後押しする人の気持ちもよくわかるんですが……。
 それから確かに、まどかの成功も相まって、虚淵さんは祭り上げるには最高の人材なんですよね。
 クレバーで物事を見る目がしっかりしているから、とんでもない失態を犯すことはまずないでしょうし。
 この人に限っては、鼻高々でとんでもないことを放言する姿が、まず思い浮かばんのです。
 それに、これから新しい仕事を与えられても、計算に基づかない下手な博打はまずしないでしょう。
 まどかだって、色々とショッキングなシーンこそありましたが、別にそういう描写に対して病的なこだわりを持っているわけではないですし。その気になればいくらでもなんとかできるでしょうね。折り合いをつけるのが非常に上手い人ですから。
 以前どこかのブログで、虚淵さんが新聞か何かのインタビューにて、中学生みたいな一般論を述べていた、と酷評されていたのですが、脚光を浴びるようなクリエーターって、そういう一般論を言えないひねた人も少なくないじゃないですか。これって、意外と重要なことだと思います。
 あるいは、この一般論でさえも、場を考えて意図的に口にした言葉かもしれません。
 なんたって、頭の良い御方ですから。
 まぁ、何はともあれ、まどかマギカという作品によって虚淵玄という名前は、エロゲー業界を飛び出して日本アニメ界の歴史に刻まれたわけで、これからますますおいしい仕事が舞い込んでくるのか、はたまた僕の読みは外れて一時的な現象に過ぎないのかわかりませんが、エロゲ業界発の成功者である氏の活躍はしっかり見届けようと思います。