そこに物語があれば

秋田在住、作家志望兼駆け出しエロゲシナリオライターの雑記

エロゲレビュー「ゴア・スクリーミング・ショウ」

両親の渡米を機に、主人公・仁野 恭司は数年ぶりに生まれ故郷の田舎町『呉仁町』に帰ってきた
そこで恭司は、それぞれ縁のあった3人の少女たちと再会する
時折、小さな波風が立つことはあっても、平穏で退屈な日々が続いていくはずだった日常
だが、過去の記憶に呼ばれ出会った、ユカと名乗るひとりの美少女と『ゴアスクリーミングショウ』と名乗る怪人物
彼等との出会いが、恭司たちの平凡な日常に小さな亀裂をつくり
狂気と絶望に彩られた奇怪なる『非日常』へと変貌させていく――
というわけでゴア・スクリーミング・ショウ
本作は、一見するとゴアの強烈なキャラやブラックサイクらしいグロテスク表現、バイオレンスさが目立ちますが
物語の根幹に存在するのは純愛に他なりません
グロテスクなホラーなのにどこか綺麗な部分も持ち合わせてる面白い作品だと思います
それから、本作は、構成も中々ユニー
初期設定されたヒロイン達の√では、主人公はユカやゴア達を日常を脅かす脅威として認識し敵対するのですが、true√とも言えるユカ√では立場を入れ替えてユカ達を守るべき者と認識するという逆転の手法を取っている
これによってプレイヤーはニュートラルな立ち位置から物語を見つめる事を強いられるわけです
主人公が理屈よりも感情が先行する性格だと言うのも、この立場が入れ替わる構成に説得力を持たせてますね
それと本作を語る上で外せないキャラとして由規という人物がいます
彼はユカ達に妻を殺害され復讐の機会を窺ってるのですが
ユカ√での、この由規と主人公の感情のぶつかり合いが非常に印象的でした
ユカを守ろうと由規の前に立ちはだかる主人公
ユカは確かに悪い事をした、だが彼女だって苦しみ辛い思いをしているんだ と述べる主人公に
「辛ければ何をしても許されるのか?
コイツに殺された人間達にお前は同じことがいえるのか!?」
と返す由規
これは互いに譲れない感情のぶつかり合い
ユカを守りたい主人公と妻の仇を取りたい由規
立場は違うが二人が胸に抱く想いは同じ物なのではないだろうか
どちらが正しいとか間違っているとかではない
だが、どちらも互いに譲れない想いを抱えている
この場面に深みを持たせているのは、立場を入れ替える事によって、プレイヤーをどちらか一方にだけ感情移入させないという意地悪な構成のおかげでもあるのでしょう
なんともやるせない物語ですね